「いただきます」を英語にしたら、感謝がなくなっちゃった。
「いただきます」「ごちそうさまでした」
子どもの頃から、毎日のように言ってきた言葉ですよね。
あんまり自然に使いすぎて意味とか考えずに、口から勝手に出てくる。
お腹すいたー!食べよー!の勢いで「いただきまーす」って言っちゃってます。
でも、この当たり前すぎる2つの言葉をほどいてみると、びっくりするくらい奥行きがあったんですよ。そして学生のとき、わたしはこの言葉を英語にしようとして、ちょっとした衝撃を受けました。
今日はそのお話。当たり前になって見えなくなっているものを、ちょっとだけ意識してみたいと思います。
「いただきます」は、ただの「食べます」じゃない
「いただく」は、「食べる」をへりくだって言う言葉、というのはなんとなくわかりますよね。
でも、もともとの意味はもっと別のところにあって。
「いただく」は、【物を頭の上に上げる】という意味だったそうなんです。
昔の人は、目上の人から何かをもらったとき、それを両手で高く掲げてお辞儀をして、感謝と敬意を表していました。
つまり「目上の人から物をもらう」=「頭の上に上げる」だったから、もらうこと自体を「いただく」と言うようになったらしい。
だから「いただきます」は、ただ「食べますよ」を敬語にしただけじゃない。
「感謝の気持ちといっしょに、食べますね」
そういうニュアンスが、もとから込められている言葉なんです。
「ごちそうさま」の「さま」に、思いやりが隠れてる
つづいて「ごちそうさま」
「ちそう(馳走)」は、もともと【駆け回る】という意味の言葉でした。
そこから、お客さんのために一生懸命あちこち走り回って料理を用意すること、そうやって用意した料理そのものを「ご馳走」と呼ぶようになったそうです。
今は「今日はごちそうだねー」とかって、ぜいたくな料理のときに使うことが多いですが、意味が少し変わってきた部分もあるんですね。
そして注目したいのが、最後の「さま」。
「さま」は、「田中様」みたいに敬意を表すときにも使いますよね。
でも、「お疲れさま」「ご苦労さま」のように、相手へのねぎらいを込めて使われることもある。
そう考えると「ごちそうさま」は、一生懸命走り回って料理を用意してくれた人を思って伝える、感謝の言葉だと受け取れますね。
英語にしたら、日本語の「ひとこと感」が消えた
わたしが学生のときに衝撃を受けた話です。
英語の勉強をしていて、海外の人に聞いたんです。
「いただきます」と「ごちそうさま」英語でなんて言うの?
きっと、英語ならではの感謝を表すいい表現があるんだろうなぁと思ってました。
でも、そのとき教えてもらったのは↓
うーん、ぴったりの表現はないけど……「いただきます」は Let’s eat! かな。
Let’s eat。食べようー! です。
わお!感謝のニュアンス、まるごとなくなっちゃった!!!
「ごちそうさま」のほうも聞いてみたら、「It was so delicious.(すごくおいしかった)」とか「I’m full.(お腹いっぱい)」が近いかな、と。
いや、わかるんだ。
わかるんだけど、日本語の「いただきます」「ごちそうさま」に入ってる感謝とは、少し形が違うんだなぁと感じました。
直訳しようとすると、「食べよう」や「お腹いっぱい」という、目の前の行動や状態を表す言葉に近くなる。
その違いが、わたしにはすごくおもしろかったんです。
もちろん、英語が冷たいという話ではありません。
食事の前にお祈りをして感謝する文化もあるし、作ってくれた人に “Thank you” と伝える場面もあります。
ただ、わたしが日本語っておもしろいなと思ったのは、
その感謝が「いただきます」という毎日の一言に、自然に編み込まれているところでした。
でも同時に、気づいてしまった!!!
当たり前に使ってるわたし自身が、いつのまにか「食べよー」「お腹いっぱい」くらいの意味で口にしてないかなって。
わたしは、めちゃくちゃあります。完全に。
当たり前の向こうに、たくさんの人がいる
目の前のごはんには、感謝したくなるものがちゃんと詰まってるんですよね。
たとえば、お皿の上の野菜ひとつ。
それを育ててくれた人がいる。
しかも、雨が多すぎた年はうまく育たなくて、そもそもスーパーに出回らないこともある。
そう思うと、いま手元にあること自体、当たり前じゃないんですよね。
そこから先も、人だらけです。
畑から運んでくれた人がいて、お店に入荷してくれた人がいて、棚にきれいに並べてくれた人がいる。
その誰か一人が欠けても、その野菜はわたしの食卓にたどり着かなかった。
ひとつ掘り下げるだけで、ありがたいことが、もうわんさか出てきます。
料理を作ってくれた人まで数えだしたら、きりがない。
(みんなにありがとうなのです!!!)
その全部の積み重ねの、いちばん上に、今日の目の前のごはんが乗っている。そう思うと、なんか急にお皿がキラキラして見えてくるんです。
「いただきます」は、感謝といっしょに食べますね、という想いから。
今日の一回だけ、ちょっと心を込めて言ってみる。
それだけで、目の前のごはんが、ちょこっとまぶしく見えてくる気がします!
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素敵なお話をありがとうございます😊
普段は何気なく言っていましたが、これからは妻が作ってくれたご飯にも、その食材に関わってくれた方々にも感謝を込めて、「いただきます」「ごちそうさま」を伝えたいと思いました✨
「いただきます」「ごちそうさま」には、料理を作ってくれた人だけでなく、食卓に届くまでに関わったすべての人への感謝が、一言に込められているんですね。
当たり前に使っている言葉でしたが、その背景を知ると、毎日の食事の見え方が少し変わりますね。