怖い上司の名前を大声で言い間違えたら、11年の恩人ができた話
人の名前を言い間違えたことってありますか?
学校の先生をうっかり「お母さん!」って呼んじゃった、みたいなあるあるは聞きますよね。
わたしは……
死ぬほど怖い上司の名前を、思いっきり間違えたことがあります。
しかも、初対面の控え室で。
本人を目の前にして。
大きな声で。
これ……本当によくないです。おすすめしません!
でも結果的に、その失敗が
わたしの人生で大事な「ある一手」を教えてくれました。
今日はその話を書きます。
駆け出しの頃「マジでキレるナイフ」と呼ばれる社長の現場へ
わたしは、フリーアナウンサーの仕事を11年やってきました。
でもこれは、まだ仕事をはじめたばかりの、駆け出しの頃の話。
ある日、すっごーく怖くて厳しいと有名な男社長の現場で
働くことになりました。
なんで初めて行く現場なのに「怖い」って知ってるかというと、
先輩たちからガッツリ事前情報を入れられていたんですよね。
「あれこちゃん……あの社長、本当に怖いから。マジでキレるナイフだから気をつけてね」
「あそこの現場は、めちゃくちゃ怒られるの前提で臨んだほうがいいよ」
え、待って。
「キレるナイフ」って何?
「怒られるの前提」って、もうすでに詰みじゃない?
行く前から、行きたくない現場の完成です。
それでも一応、社長の名前と会社名は事前にもらっていたので、
わたしも気を引き締めて現場に臨みました。
控え室に、その怖い社長が入ってきた
現場の途中、休憩の時間。
控え室で休んでいたところに、
その男社長がドカッと部屋に入ってきました。
真ん中のソファーに、どん、と座って。
「……おい、お前。初めてやのぉ?」
その日、初対面なのはわたしだけ。
完全にわたしに言ってます。
ここは絶対に失礼があってはいけない、と思って
できるだけ大きな声で答えました。
「初めまして!幸あれこと申します。お世話になります、よろしくお願いいたします!!!」
すると、
「おう……もう俺の名前は知っとるよな?」
きました。来てしまいました。
名前を聞かれるパターンです。
わたしはさらに大きな声で
「はい!もちろん存じております!!」
って即答しました。
ところが、社長が次に放った一言が
「俺の名前、言うてみぃ!」
……いや、待って。
「言うてみぃ」は想定外。
「存じております」って言ってもうたやん。今さら引けない。
しかも実は、そのとき
自分のなかでその名前の記憶が、ふわっとしていたんですよね。
うん、たしかこの名字だったよな。
たぶん、当たってるかな。
もう心を決めて、
「えい!」っという気持ちで、はきはきと答えました。
「はい!!
綾小路(あやのこうじ)さんです!
これからよろしくお願いいたします!」
しーん。
控え室には、社長とわたし以外にも、
先輩や他のスタッフがいました。
しーん。
水を打ったように、しーーーんって静まり返って。
その怖い社長も、意表をつかれた顔をしていて、
なんか、ハムスターみたいに、
ほっぺたが、なんか……もひもひ動いていて。
わたしは確信しました。
わたし、絶対に名前間違えましたね……!?
「やっちまった」どころじゃない。
これ、終わったやつじゃねーか。
頭の中はもうパニックで、
なぜか 「桜吹雪のーー」 ってサライの曲が流れはじめてました。
仕方ない、ここはもう、怒鳴られるの覚悟。
そう腹をくくった、その瞬間。
その怖い社長が、
「お前……面白い奴やなぁ!はははは!!」
って、お腹を抱えて笑い出してくれたんです。
マジで命拾いしました。
そんなことある!?
なんでか知らないけど、怖い人のツボに入ったみたいで。
本当は「前小路(まえこうじ)」さんでした
あとでわかったんですが
本当はその社長、前小路(まえこうじ)さんでした。
※本名わからないように工夫して書いてます
「こうじ」だけ、奇跡的にかすって正解だったやつです!笑
しかも前日の夜、
わたし、テレビで 綾小路きみまろさん を観てたんですよね。
絶対、引きずられた。
言い訳はいくらでも出てきますが、
そのときばかりは、社長の懐の深さに感謝しかなかったです。
ちなみにこの社長、その後の仕事でわたしを死ぬほど厳しく鍛えてくれて
ポンコツなわたしを成長させてくれて、
仕事のたびに必ず指名してくれる、
恩人の「きみまろ社長」 になりました。
わたしの中ではもう、前小路さんじゃなくて、きみまろさん。
本人公認です。笑
あの日、わたしの命を救ったのは「声の大きさ」だった
これ、笑い話っぽく聞こえると思うんですけど
わたし、けっこう本気で思ってることがあります。
あのとき声が小さかったら、たぶん怒られていた。
ぼそぼそっと「あ、綾小路さん、です……」って答えていたら、
社長のツボには絶対入っていない。
「お前、ふざけとんのかぁぁぁ」案件です。
声が大きいって、ただの礼儀の話だけじゃないんですよね。
実は、科学的にもちゃんと証明されている話。
大声を出すと、人間は「隠しタンク」を引き出せる
わたしたちは、自分は全力でやってると思っていても
脳は、まだ余力を残してるんです。
アクセルを全踏みしてるつもりで、
実は8割くらいしか踏めてない、みたいな感じ。
そこに大きな声をプラスすると、
自分でも知らなかった「隠しタンク」を引き出せる、ということが分かっています!!!
具体的には、
大声を出すと、筋力が一時的に5〜7%アップする。
たとえば、10kgしか持ち上げられない人が
声を出した瞬間、10.7kgを持ち上げられる、みたいな話。
5〜7%って、意外にめちゃくちゃ大きいですよね!
スポーツ選手が「おりゃー!」って叫ぶのも
重いものを持つときに「よっしゃー!」って言っちゃうのも
ぜんぶ理にかなっています。
人間は、声で自分の限界を超えられる生き物なんです。
わたしも、ずっとこれに助けられてきた
11年、フリーアナウンサーとして仕事をしてきて
緊張する現場、絶対に失敗できない現場、たくさん経験しました。
そのたびに、小さくなりかけた自分を
「まだまだいけるぞー!」 って大きな声で励ましてきたんですよね。
生放送の直前「いける!いける!いける!」
ステージが始まる直前「大丈夫!大丈夫!大丈夫!」
と、何度自分を奮い立たせてきたことか。
声は、限界を超えるための、いちばんすぐ使える武器です!
道具もいらない。
準備もいらない。
ただ、自分の体ひとつでできる最強の一手。
もし今、あなたが何かにぶち当たっていたら
本気で悩んでいたり、
悔しい思いをしていたり、
壁にぶち当たって動けなくなっていたら、
まずは、ちょっと大きな声を出してみてください。
「うぉぉー!」でもいいし、
「いっちょやるかー!」でもいい。
カラオケでも、車の中でも、お風呂場でも、どこでもいい。
体の奥のほうから、ちょっと無理めに声を出すだけで
心の限界も、ふわっと一段階突破できます。
わたしの場合、それは怖い社長の控え室で炸裂した「綾小路さん!」でした。
たぶんあれが、わたしの人生でいちばん大きな声を出した瞬間です。笑
そのおかげで、命拾いして、恩人ができて
今こうして書く話のネタにもなりました。
声は、本当にあなどれないです。
今回の内容も少しでも参考になればうれしいです。きみに幸あれ!
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